「 北方夢幻・津刈丸 」
斉明さいめい四年(六五八年)、蝦夷征伐の勅みことのりを受けた阿倍比羅夫あべのひらふは、軍船百八十艘を率いて越こしの国(北陸地方)から北征し津軽の地へ襲来した。
此の時、津軽荒吐族あらはばきぞくは、酋長、津刈丸つがるまるを中心にこれを迎え討ち一艘たりとも上陸を許さず、火の矢を以って敵船を焼き打ちしてしまったという。
津軽の地には、縄文の昔から、高度の精神世界と創造性豊かな文化があった。
その縄文の魂を甦らせ、炎炎たる海原を前に奮戦する勇者・津刈丸。
天空高く疾駆し、飛翔する麒麟の如きその姿に、郷土の豊かな発展を祈り願うものである。
解説/竹浪 比呂央