蓬田村伝説「 金光上人と阿弥陀川 」
浄土宗じょうどしゅうの開祖、法然上人ほうねんじょうにんの弟子 金光上人こんこうじょうにんは、東北へと布教の旅をしていた。 その道中、三日三晩続けて阿弥陀如来が夢に現れ、「汝、津軽外ヶ浜そとがはまに至れば、必ず逢わん」とのお告げを受けたのであった。
上人が蓬田村よもぎたむらにたどり着いた時、この村のはずれの川に夜な夜な光を発するものがあり、村人たちは恐れ怪しみ誰も近づく者がいないと聞かされた。 上人が川を掘り捜したところ、鍬に手ごたえあり、立派な筥はこが見つかった。 開けてみると、なんとそれは金色燦然とした阿弥陀如来像であった。 上人は霊夢のお告げであると伏し拝み、自ら背負い布教を続けた。
以来、この川を阿弥陀川と呼ぶようになったという。 なお、この尊像は現在、弘前市の西光寺せいこうじに祀られている。
解説/竹浪 比呂央