時は平安。本州の北の果て、 いまの青森県下北半島は艮の鬼門に当たり、 悪鬼が住みついては害をなしていた。
人々は困り果て、遠く京の都まで行っては、名のある武士に鬼退治を頼み込んだ。 その願い応えたのは、武勇の誉れ高き源頼義。兵士たちを従え、東北へと進軍する。
鬼の住まう佐井(青森県佐井村)へやって来ると、 頼義は海水で禊し、 一心不乱に武運の神である八幡神へ加護を祈った。
祈り続けること七日目。にわかに暗雲たちこめ、波は逆立ち翻り、突風が吹き荒ぶ。 そこへ忽然と現れ襲い掛かる悪鬼。身の毛もよだつ恐ろしい鬼の形相に苦戦を強いられる。
と、その時。一軍の前に顕れたるは八幡神。 青龍に護り導かれ、神馬にまたがると、 神通力を宿した弓矢をすっと空へ引き放つ。するやいなや、 邪気を祓う音が海に鳴り響き、 雲を蹴散らすと、悪鬼を射貫いた。轟音をあげ落ち来る悪鬼。八幡神の助けを得、鬼退治をすること叶った。
頼義はこれに感謝し、 神の箭根石(矢じり)がある場所に八幡神を祀ることとした。 これが現在も佐井村に鎮座まします箭根森八幡である。
神馬にまたがり、神変の弓矢を引き放ちて、 まさにいま悪鬼を射落とす武神・八幡神の姿をねぶたに顕現す。