京都・八坂神社で素戔嗚尊と同体として祀られている牛頭天王。
もともとインドの疫病神であり、武塔神とも呼ばれた。 『備後国風土記』逸文によると、
武塔神が旅の途中に訪れた南海で一夜の宿を請うたところ、 裕福な弟の巨旦将来は拒絶し、
貧しい兄の蘇民将来は快く迎え入れた。 武塔神はその礼として「われはハヤスサノヲの神なり。
後の世に疫病流行すれば、蘇民将来の子孫と言い、 茅の輪を腰につけておれば免れさせる。」と蘇民将来に告げ、疫病から救ったという。
こうした由緒による祇園信仰は、無病息災を願うものとして庶民の間に広まり、 現在も八坂神社の神事である祇園祭の際には「蘇民將來子孫家門」の護符や粽が授けられる。
また、弘前市の金剛山最勝院護摩堂でも牛頭天王が本尊と同等の秘仏として祀られ、 疫病除けの御利益があると津軽の人々に信仰されている。
ねぶたは、新型コロナウイルスや戦争といった脅威を封じ込めるが如く、 邪鬼と対峙し「蘇民將來子孫家門」の護符を人々に与える牛頭天王の姿を表現したものである。