平家追討軍を指揮し最大の武功をあげるも、兄の源 頼朝に追われ奥州平泉で自ら命を絶った、源 義経。英雄の悲劇的な生涯は東北、北海道の各地に数多の伝説を生んだ。
ひそかに平泉を脱出し生き延びた義経は、逃避行を続け津軽半島の三厩にたどり着いた。目指すは蝦夷地。しかし、津軽海峡には激しい風が吹き波は高く、行く手を遮った。神仏にすがり風波を静めるほかないと、義経は岩に端座し、肌身離さず持っていた観音像に三日三晩祈り続けた。そして満願を迎えた夜明けー
義経目の前に老翁が姿を現し「汝の誠意は伝わった。神通力を持った龍馬を三頭授ける。」と告げた。義経が岩穴を見ると、そこには馬の如く疾駆し龍の如く天を飛翔する霊獣、麒麟が三頭つながれていた。そして、この麒麟に跨り津軽海峡の先、蝦夷地へと渡ることができたという。
老翁と麒麟に導かれた義経が新天地へはばたくが如く、郷土青森がさらなる高みへと向かうことを強く願うものである。